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REPORT

Produce Next Report

~Post-RPA~

マネージャー 須藤 陽平

はじめに


ここ数年、働き方改革等の流れを受けて、多くの企業がRPAを導入もしくは導入を試みてきたのではないだろうか。RPAの導入に成功し、業務が効率化された企業がある一方で、なかなか効果が出ていない企業や導入自体を見送った企業も多いだろう。

今回、Produce Next Reportでは3回に亘ってRPAの導入がうまくいかない、もしくは、有効活用できていない企業に対する解決策をお伝えしていきたい。第1回は、「紙書類とOCR」について取り上げる。 (第2回は「BPRの重要性」、第3回は「新たなツールの動向」についてお届けする予定)


当社の経験上、紙書類がネックとなり、RPAを導入できなかった企業が相当数あるのではないかと推察している。また、導入に成功した企業の中にも、紙書類が無ければ、もっと効率化できたという企業もあるだろう。読取り精度が向上し、実務でも十分に導入できるレベルとなったOCRを用いた、RPAの有効活用や導入時の注意点について以下で説明する。



紙書類は RPA 導入時のハードル


多くの人がRPAについてご存知かと思うが、念のため振り返っておきたい。RPAとは、「人間がパソコン上で行っているキーボードやマウス等の端末操作を記録して、人の代わりに自動で作業するソフトウェア」、「ホワイトカラーのデスクワーク(主に定型作業)をルールに基づいて、パソコン上でロボットが代行・自動化する概念」のこと。定義は様々あるだろうが、RPAが活躍する場所はパソコン上に限定されているということが特徴として上げられる。つまり、紙書類を使用する業務には適用できないのである。例えば、伝票や領収書、請求書などのデータ入力業務は、多くの企業で人手のかかる業務の1つ  だが、これらは自動化の対象外とされている。多くの企業がペーパーレス化に取り組んでいるが、間接部門の定型業務に関しては依然として、紙の資料のシステム入力などが残り、RPAを導入する上で大きなハードルとなっている。紙書類の使用を辞めれば良いではないかという議論も当然あるとは思うが、顧客企業との取引の中で紙書類を扱うことが多い企業は、完全に紙書類を撤廃することは難しいのが現状だろう。


OCR とは何か


RPAが日本で浸透し始めたころから、紙書類の問題を解決しようとOCRの活用が検討されてきた。OCRとは、手書きや印刷された文字を、スキャナやプリンタ等で読み取り、コンピュータが利用できるデジタル文字に変換する技術のことで、紙書類を読み込んでデジタル化すること。デジタル化されたデータを用いて、後続の作業をRPAで自動化することが可能となる。しかしながら、日本語はひらがなやカタカナ、漢字といった文字の種類が多く複雑なため、正確に認識するのが困難で、数年前のOCRは読み取り精度が低く、とても実用化できるものではなかった。そのため、最近までRPAの世界では、紙書類イコールRPA導入不可と考えられてきたのである。


AI-OCR の登場


日本語を正確に読み取ることはできないとされてきたOCRだが、AI-OCRの登場により、その読み取り精度は格段に向上した。AI-OCRとは、その名の通りOCRにAI技術を組み合わせたものである。収集した大量の文字データから文字の特徴をディープラーニングし、高精度の文字認識を可能としている。また、前後の文字や文法から文字を連想することで、従来のOCRに比べ、高い精度の文字認識ができるようになった。AI-OCRによってRPAの適用範囲も格段に増加したと考えられる。


AI-OCR 導入時の注意点


AI-OCR の登場により、読取り精度は格段に向上したが、読取り精度は未だ 100%には達していないし、今後も 100%となることは無いだろう。そのため、AI-OCR を利用したとしても人間の確認や修正作業は不可欠なまま だ。実運用に向けては、人間の確認作業や修正作業を業務フローのどのポイントで実施するのが効率的なのか、自 然言語処理等の他の技術も組み合わせて、限りなく 100%まで読み取り精度を高めるのか、もしくは、もう1台 AI-OCR を導入して AI-OCR 同士で突合作業をさせるのかといった、業務フローの再構築が必要なのだ。
< また、紙の書類をスキャンする作業や、AI-OCR の読み取り結果をチェックする作業が新たに発生するため、こ うした工数の増加を加味しても効率化が達成されるのか事前にシミュレーションしておく必要もある。

AI-OCR ベンダの選定


一言でOCRベンダと言ってもベンダ毎に得意な分野と苦手な分野が存在する。例えば、領収書や請求書に特化したOCRベンダやレイアウトが決まっている書類(定型帳票)の場合には、100%に近い精度を誇るが少しでもレイアウトが変わると一切読めないベンダ等がある。各ベンダの強み/弱みを把握し、自社の紙書類のレイアウトや種類に応じて最適なOCRベンダを選定する必要がある。実際は紙書類のレイアウトは企業毎に千差万別なため、試しに読み取ってみないとOCRとの相性は分からないことも多い。よって、当社では本番導入の前に、3社程度のOCRベンダを招聘し、PoCを実施することを推奨している。


終わりに


今回、紹介したAI-OCRは、これまで紙書類がネックとなりRPAを導入できなかった企業や思ったほど効果が出ていなかった企業に対する効果的なソリューションとなり得るだろう。一方で、AI-OCRを導入するだけでは効果は出ず、適切な業務フローの再構築や自社の紙書類に合ったOCRベンダの選定が必要である。AI-OCRをスムーズに導入するために、自社だけで導入を試みるのではなく、外部を活用することをお勧めしたい。