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~Post-RPA~

マネージャー 須藤 陽平

~第2回 RPAの更なる有効活用について(業務診断編)~

はじめに非効率なプロセスを自動化するとさらに非効率になる


ビル・ゲイツが興味深いことを指摘している。「効率的なプロセスを自動化するとさらに効率的になる。非効率なプロセスを自動化するとさらに非効率になる。」自動化を急ぐ前にまず、プロセス改善を徹底的にすすめておく必要があるというのである。

いくつかのRPA導入案件の失敗事例を聞いていると、上記のビル・ゲイツの指摘が正に当てはまると実感している。RPAが導入しやすい業務は、定型化された繰り返しの業務であるが、そのような単純作業自体に既に付加価値が無く、「自動化」ではなく、「廃止」が適切なソリューションであるケースも多い。


RPA導入の前には業務診断が不可欠


本来、やる必要のない業務をいくら自動化しても、RPA等の自動化ツールのメンテナンス対応に追われだけで、逆に生産性を下げているケースも散見される。昨今のRPAブームに乗って、とりあえず自動化できそうな業務にRPAを導入したものの、効果が実感できていない企業は非効率なプロセスを自動化してしまっている可能性が高い。

流行りの自動化ツールに飛びつくのではなく、業務全体を診断し、非効率なプロセスを洗い出し、場合によっては業務プロセスを組み替えたりしながら、最適なオペレーションを構築したうえで、自動化すべきところは自動化するというのが業務効率化施策のあるべき姿である。事前の業務診断を行うのと行わないのでは、RPA導入の効果に大きく差が付く。

当社では、多くの企業様から非効率な業務やプロセスがないか診断して欲しいとのご依頼を頂戴し、豊富な実績を有している。本記事ではこれまでの業務診断プロジェクトで得た知見や業務ヒアリングにおけるポイントを紹介したい。


True? Why? So what?


業務診断では、現場で業務を担当している方にインタビューを実施させて頂く。どういった業務を行っていて、どれくらいの時間をかけて、どういったところに課題を抱えているかを数週間に亘ってヒアリングを実施する。ヒアリングの中で、現場の担当者からは色々な課題が上がってくるが、必ずしも現場の意見が正しいとは限らない。

よくある例は、この業務は昔からやっていて、前任者から必要だと言われたので継続しているというケース。そういった業務に対して、当社では、「本当に必要なのか(True?)、何故、必要なのか(Why?)、その業務を行った結果、どういった効果があるのか(So What?)」を徹底して確認している。外部の人間であるからこそ、先入観が無い分、純粋に様々な疑問が湧きあがってくる。ヒアリングを受ける方は、業務についてしつこく聞かれて辟易してしまうかもしれないが、真に必要な業務や課題を炙り出すために、必要なステップだとご理解頂きたい。

別の証券会社のケースでは、営業担当者が朝のマーケット調査に手間がかかっており、情報収集を自動化したところ、営業担当者の相場観やマーケット感覚が失われ、営業担当者の強みが無くなった事例がある。その証券会社では、自動化を止め、担当者が自分で情報を取るプロセスに戻すこととなった。何かの業務を止める場合には、その影響(So what?)も十分に考慮する必要がある。上記の例のように効率化だけを考えて会社としての強みを打ち消してしまったり、全社戦略と不整合を起こすような効率化施策は、結果的に企業を弱体化させることに繋がる。そういった残念な結果を防ぐためにも、「True? Why? So what?」を徹底して確認し、一つひとつの業務を改めて見直すことをお勧めしたい。


S⇒IPO⇒C


業務ヒアリングを実施する際に、効率的に業務の課題を洗い出すために有用なS⇒IPO⇒Cというフレームワークを紹介したい。Sの説明の前に、真ん中のIPOから説明したい。IPOはInput, Process, Outputを示しており、Inputでは、どのようなシステムや情報ソースから情報を得ているかを確認している。また、インプット資料が紙なのかテキストデータなのかも重要な確認ポイントである。次に、ProcessはInput段階で得た情報をどのように加工しているかを確認している。エクセル上で処理が完結するのか、WordやPPTを使用するのか、複数のシステムを跨いだ処理が必要なのかによって自動化できる範囲が変わってくる。Outputでは、Processの過程を経てできた成果物を、最終的にどのように処理しているかを確認する。例えばメールで顧客に送付しているや印刷して関係者に配布する等を把握する。基本的には、IPOを確認することで、自動化可能な範囲は概ね洗い出せるものと理解している。


外部の関係者も含めた業務プロセスの見直し


IPOは内部のプロセスに着目した枠組みであるが、残りのSとCはそれぞれ、SupplierとCustomerを表しており、外部の関係者まで分析の範囲を広げている。まず、Sであるが、業界や業務によって、サプライヤーは存在しないかもしれないが、内部処理に至るまでの前処理だと理解頂きたい。例えば、卸業者からの請求書を紙から電子データに変えてもらうことで、自動化の余地が拡大するかもしれないといったことを検討する。もちろん、他社の業務プロセスを変えることになるため、交渉が必要となるが業務の効率化を検討する際には、企業の外のプロセスも含めて検討することで、更なる効率化余地を捻出できる可能性がある。

最後のCは、Customerだ。効率化の検討時には顧客ニーズを正確に理解することで、大きくプロセスを効率化できる可能性がある。例えば、顧客ニーズに合致しない業務に100時間かけているとして、それを努力して50%効率化するよりも、そもそも顧客に求められていないのだから、廃止してしまえば100%の効率化が達成できるので、廃止が最も効率化効果の大きいソリューションと言える。色々な制約条件があって、意味がないからすぐに廃止というわけにはいかないかもしれないが、今の業務が顧客のためになっているかという視点は常に持っておく必要がある。逆に、顧客満足度の向上に寄与する業務であれば、効率化の観点だけでなく、より高い満足度を得るために何ができるか検討すべきである。


終わりに


今回は、RPA導入前の業務診断や業務ヒアリングにおけるポイントを紹介したが、枠組みだけ覚えても、そう簡単に使いこなせるものではないため、外部の専門家を利用することをお勧めしたい。ピュアな視点で業務を見直すという意味でも、外部の専門家を利用することは有用と考えられる。その際は、当社にご相談頂ければ幸いです。