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REPORT

Produce Next Report

~MaaSが切り開く未来とは~

Maasチーム

~第3回 Beyond MaaS 「スーパーシティ」構想が創り出す未来都市とは~

はじめに

前回のProduce Next Reportでは、シェアサイクルを事例にMaaSが既に身近な存在となりつつある点をご説明し、当社における実際のMaaS領域プロジェクトについてご紹介いたしました。

今回は、MaaSの先に目指す姿として「スーパーシティ」という概念をご紹介し、当社におけるスーパーシティとMaaSの結び付き、実現方法についてご説明いたします。本記事を通して、MaaSのもたらす未来像について想像を深めていただければと思います。

シェアリングサービスにより実現されつつあること

前回、現状最も身近なMaaSの事例としてシェアサイクルを取り上げました。シェアサイクルのメリットとして、以下のような点を挙げました。

  • 利用・返却場所が固定ではないため融通が利く
  • 電動アシストにより誰が利用しても同様の乗り心地
  • アプリにより利用が簡便

これらのメリットにより、多くの人が自転車を所有することなく、あたかも所有しているかのような気軽さで移動ができるようになりました。自動車にも同様のことが言えます。カーシェアの普及により、利用者は自動車を所有することなく自分の好きなタイミングで自動車を利用できるようになりました。これらのシェアリングを軸とした新たなサービスと既存の公共交通機関の併用により、移動における自由度は各段に向上してきたと言えるでしょう。

「ヒト」の移動と「モノ」の移動

ここまでは主にMaaSによる消費者側のメリットについてご紹介しました。一方で、事業者側もMaaSによるメリットを享受できる点にも注目すべきでしょう。そこでポイントとなるのが「ヒト」の移動と「モノ」の移動という考え方です。

図のように、これまでは消費者がお店に行くための手段、つまり「ヒト」の移動が中心でした。しかし移動手段の多様化により「モノ」の移動が可能となり、事業者もサービスを提供するための手段としてモビリティの利用を始めています。身近な事例として初めに思いつくのはUber Eatsをはじめとした飲食業でしょう。この流れは今後様々な業種に拡大していくと考えられます。

このような「モノ」の移動がもたらすサービスは単に便利なだけではありません。

  • 移動手段のなくなった高齢者
  • 過疎地域に住む方
  • Withコロナで外出を避けて生活する方

これらの方々が抱えている課題に直接リーチできる可能性を秘めています。つまり、「モノ」の移動をはじめとしたサービスの拡大が社会問題の解決手段となることが期待されています。また、それらのサービスを一つの都市の中に統合することで住民により便利で豊かな暮らしを提供する、という構想がいくつかの都市で起こっており、その中の一部は冒頭で触れた「スーパーシティ」を目指して動き始めています。

スーパーシティとは何か?

では、「スーパーシティ」とはどのようなものでしょうか。「スーパーシティ」とはこれまでの「日本型スマートシティ」を進化させたもので、内閣府の発表内容によると、次の3つを満たす「まるごと未来都市」の実現を目指すコンセプトです。

  1. これまでの自動走行や再生可能エネルギーなど、個別分野限定の実証実験的な取組ではなく、例えば決済の完全キャッシュレス化、行政手続のワンスオンリー化、遠隔教育や遠隔医療、自動走行の域内フル活用など、幅広く生活全般をカバーする取組であること
  2. 一時的な実証実験ではなくて、2030年頃に実現され得る「ありたき未来」の生活の先行実現に向けて、暮らしと社会に実装する取組であること
  3. さらに、供給者や技術者目線ではなくて、住民の目線でより良い暮らしの実現を図るものであること

上記実現に向けて、「サービス」「システム」「制度」の3点における変革が求められています。

スーパーシティ構想の全体像

<サービス>

これまでは、エネルギー、交通領域に限定した最新技術を用いた個別分野の実証実験的な取り組みが中心でした。ただ、この取り組みでは、住民の真のニーズにこたえられるサービス設計ができておらず、さらに実証実験を実施するだけ、という実現につながらない形で終了するケースが散見されました。スーパーシティ構想では、「移動、物流、支払い、行政、医療・介護、教育、エネルギー・水、環境・ゴミ、防犯、防災・安全」のうち少なくとも5領域をカバーすることが条件とされています。これにより、生活全般に関わる住民のニーズに合ったサービス設計が求められます。

<システム>

複数領域をまたがるサービス提供には、データ連携が欠かせません。これまでは、個別領域でシステムが組み立てられており、相互連携性、拡張性が担保されていない状況でした。そこで、病院や介護施設、自治体が保有する各種データをオープンAPIを経由してデータ登録・提供してもらい、必要な時に必要なデータを迅速に連携・共有できる「データ連携基盤」を構築。「データ連携基盤」からオープンAPI経由で、必要なデータを取得し、先端的サービスを実現させていく構想です。

<制度>

これまでは、国家戦略特区制度の適用を前提としているものの、規制特例の調整は各省庁と個別に調整する必要がありました。結果、一つの事業計画に対し、領域ごとに関係する省庁が異なるため、部分的に認可が下りないケースもあり、不完全な形でのサービス立ち上げに留まってしまいました。そこで、サービスを同時に立ち上げるために、住民合意に基づき、複数分野の規制改革を同時に進める手続きが法令化されました。(スーパーシティ法案)

スーパーシティ法案については、賛否の声が上がっていることや、「データ連携基盤」の構築についても、実現に向けてのハードルは高いのが現状です。こういった状況の中、スーパーシティ構想に対し、当社では、どのようなことに取り組んでいるのか、説明していきます。

スーパーシティを実現していくためには?

スーパーシティ実現に向けては、一律なサービスの画一的な展開ではなく、地域特性に応じた課題解決に資する仕組みや地域の持つポテンシャルを最大化する仕組みを構築する必要があります。MaaSの概念だけでもステークホルダーは自治体や自動車メーカー等の交通事業者だけでなく、クラウドサービス会社、決済ソリューション企業等のこれまでとは異なる性質を持つ事業体にまでそのエコシステムが広がっており様々な産業の知見だけでなく、各ステークホルダーがwin-winとなるような仕組みを構築する能力が求められるでしょう。

 

MaaSエコシステムの拡大

サービス構築に向けては、利用するステークホルダーの分析、パーソナルデータの活用手段の検討、システムのグランドデザイン策定といった上流の工程から、システム導入や既存システムの統合、業務フロー策定などの下流の工程まで、様々な「知見」を結集させて取り組む必要があります。また、ToBe像の確立だけでなく、それを実現するための「実行」にコミットすることで、真の成果を創出することが出来ると考えています。

前回もお伝えした通り、当社ではMaaSに関連した領域では、ビジネスモデルや事業性検討支援の実績を持つほか、それ以外の領域でもカスタマージャーニーの作成といったユーザーとの接点構築、システムアーキテクチャ構想策定、グランドデザインの構築といったスーパーシティを具現化するにあたっての知見を数多く有しています。

ステークホルダーの方向性とRISEの提供価値

当社の特徴は、プロジェクトのスコープを設定しないコンサルティングサービスを提供することにあります。スーパーシティの推進に向けては、様々なテーマ・課題解決が求められ、都度課題が発生していくことが予想されます。こうした中で、都度スコープを設定していては、サービスの提供範囲が限定されてしまい、プロジェクトを推進していくことは難しいでしょう。都度、発生しうる課題に対して多くのステークホルダーを巻き込みながら、課題解決のためのプランを策定し、そしてそれをスピーディに実行していくことで各自治体様や企業様といったステークホルダーが思い描くスーパーシティの形、そして事業構想を実現させていきたいと考えております。

最後に

これまで、3回にわたり、MaaSをテーマとして記事を執筆させていただきました。MaaSを活用したビジネスに興味のある企業様、スーパーシティを概念として理解するだけでなく、実際のサービスに落とし込み持続的なビジネスモデルを構築したい自治体様などにおかれましては、一度、当社までお気軽にお声がけいただければ幸いです。