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Produce Next Report

~ベンチャー企業の成長ステージについて~

マネージャー 須藤 陽平

~第1回 シード期のベンチャー企業~

はじめに


ベンチャー企業で経営計画を描くにあたってEXITはひとつの大きなゴールとなる。EXITの主な方法としては、株式公開、株式譲渡、経営陣による会社の買収(MBO)などがある。EXITに至るまでに、ベンチャー企業はいくつかの成長ステージを経る。

一般的にはシード、アーリー、ミドル、レイターの4段階があるとされる。ただし、この区分には明確な定義はなく、事業の成長度合いや未上場企業間での相場感、前回の資金調達からの金額比などから判断される。

今回、Produce Next Reportでは3回に亘ってベンチャー企業の成長ステージ毎の課題や対応策についてお伝えしていく。第1回は、シード期について取り上げる。(第2回は「アーリーからミドル期」、第3回は「レイター期」についてお届け予定)


シード期とは


シード期は、ベンチャー立ち上げの準備期間で、製品は構想段階あるいはプロトタイプができた段階。ビジネスコンセプト等は、決まっているものの、収益モデルは立案中といったケースが多く、収益はない段階。一般的には、シード段階ではそれほど多くの資金は不要で、ベンチャーキャピタルよりは、自己資金、友人・知人による資金、エンジェル投資、公的金融機関の創業融資を活用する。

シード期の事業活動の中心は「事業計画策定」と「チームビルディング」であり、説得力ある事業計画を立てるための分析や市場調査、事業に合った最適な経営チーム作りが重要になる。

以下では、事業計画策定及びチームビルディングについて考察する。


事業計画策定


So良い事業計画やビジネスモデルとは何か、簡単にまとめていく。

  1. なぜ顧客がその製品・サービスを利用するかが明確

どれほど良いアイデアを思いついたところで、キャッシュが入る仕組みを築けなければ意味がない。その製品・サービスを買う理由が明確で、顧客が購入しているシーンがイメージできることが必要だ。顧客にどのようにリーチするかの検討が必要になる。良いビジネスモデルは、そうした点をつくり込んであるものだ。具体的なイメージの湧かないコンセプトは、ビジネスモデルとは言えない。

  2. 市場性の面で魅力的で、持続的に勝てる

ビジネスモデルを実行に移せそうかは、「市場の魅力度」と、「持続的競争優位性を築けるか」で評価できる。当然、市場規模が大きく将来性もありそうで、自らの強みが発揮できる分野なら実行に移すべきと判断される。その逆に、市場規模が小さく将来性もない、不得意な分野であれば、そのビジネスモデルを実行したとしても非常に危うい。「市場の魅力度」と「持続的競争優位性を築けるか」の2軸のマトリックスは、アイデアの段階、ビジネスプラン策定の段階、さらに事業として実行に移した後の段階でも広範に利用できる

  3. 模倣されにくい独自性がある

持続的な優位性という面では、競争相手に模倣されないかという観点も重要。リリースした商品やサービスは、常にアイデアを真似される宿命にある。真似をされ、自社よりも上手にそして安価な商品が世に出る事態となってしまったら、ビジネスとしては痛手だ。模倣されにくいユニークな強みこそがビジネスモデルを強固なものにする。

チームビルディング


DXシード期のベンチャー企業においては、少ないリソースの中で「優秀そうな人材」はつい採用したくなるが、創業期の激しい変化の中で伴走できるのは誰か、3つの軸で考えることが重要。また、3つの軸に加えて投資家が評価するポイントもチームビルディングの際に参考にされたい。

  1. 価値観の一致

創業者の実現したいビジョン、価値観は共有できるか。起業には大きく分けて「カネ(金銭的収入)」、「コントロール(自由・権限など)」「インパクト(社会貢献・名誉など)」の3つの目的がある。採用する人材がどこに重きを置いているかは確認すべき点だ。

  2. スキルフィット

創業期の中、必要されるスキルを備えているか。オフィス探しから社員の給与計算まで、「何でも自分たちでやらなければならない」創業期に柔軟に対応できるか。頭が良いだけの社員よりもフットワーク軽く動ける人材の方がシード期には適しているだろう。

  3. コミットメント

その時点の人生すべてを賭けて、本気でコミットメントしてくれるか

(投資家の視点)

エンジェル投資家等からの出資を受ける場合、ビジネスが完成していないシード期においては、「経営陣」に対する評価に重点が置かれるものと考えられる。具体的には、「人間性の高さ」「組織全体を把握する俯瞰力はあるか」「創業者の実現したいビジョン価値観は共有できているか」といった観点で、経営陣を評価している。


終わりに


シード期は、今後のビジネスを左右する重要な時期である一方で、リソースが限られる中で多くのことを検討しなければならない。戦略は後で変更(ピボット)することも可能であるが、シード期に固めたビジョンや軸は簡単には変えられないため、慎重に検討する必要があると考えている。


そのため、創業初期からある程度のコンサルティングやアドバイザーなどの介入を受けることは有益だ。弊社でも事業計画の策定や資金調達といったベンチャー企業支援を積極的に行っており、気軽にご相談いただければ幸いである。